飲食店は売上-支出(経費)=利益ですので
飲食店の支出(経費)について考えてみましょう
1.食材費
2.人件費
3.地代家賃
4.水道光熱費
5.広告費、通信費
6.備品購入費
主に、この6項目が飲食店の支出(経費)です金額の大きなものから順に説明します
1.食材費
食材費が売上げに占める割合を食材原価率と言います。単純に売上げから食材費を引いた金額を粗利益と言います。
お店のコンセプトを考える時に原価率の設定をされている事と思いますが
ロスや販売比率によって目的の原価率と実際の原価率が一致しない事がまれにあります。この原価率のチェックは飲食店にとって大変重要です。
正確な数字を出すためには
・商品の原価率を正しく算出する。
・月末に棚卸を実施して正確に食材の使用金額を算出する。
この二点が必須です。
2.人件費
人件費のコントロールも重要です。
人件費が適正かどうかを判断する時に人時生産という数字を使います。
これは売上げ金額を総労働時間で割り1時間あたりの金額を算出したものです。
業態や価格帯によって適性数値は2000円~5000円と開きがありますが、数値を算出することで
数値と体感で自店の目安を作ることができます。
その上でコントロールすればブレが少なくなります。
3.地代家賃
地代家賃も大きな支出の一つです。自己所有の物件なら資産の形成と言う側面がありますが、賃貸物件の場合(契約の種類にもよる)粗利益に占める割合が大きくなると経営悪化の一要因になります、賃料の値下げ交渉も成功すれば経営にプラスになりますので一考の価値がありますがなかなか難しいようです。
4.水道光熱費
水道光熱費の水道、ガスは節約や削減の対象になりますが、電気に関しては余りおすすめ出来ません、冷暖房はお客様からクレームの対象にすぐなりますし、雨の日や夕方になっても看板が点灯していないお店は集客に直接影響しますので・・・。
固定費と考えた方が良いでしょう。
5.宣伝、広告費
広告媒体は、折込チラシ・新聞、雑誌広告・情報誌掲載・ダイレクトメール(DM)・ラジオCM
テレビCM・各種スポンサード・ポスティング・店頭配布・ネット広告・中吊り広告・商業看板
etc….と様々あります。
5.広告の目的は大きく2種類に分けることが出来ます。
〔1〕印象広告
印象広告は即効性を求めるものではなく、お店の存在をアピールする為に出すものなので
知名度が十分にあるお店や商圏が狭いお店は無理に出すこともないでしょう。
又、出す場合は広告を出す時期を自店の顧客層の動きに合わせる事で効果を最大に引き出す事ができる種類の広告です。
通常3月、4月の住民が移動する時期、連休前、ボーナス時期の前に出す事が多いです。
看板やポスター、のぼり旗なども、印象広告に含まれます。
〔2〕イベント広告
セールの告知等、既存客の再来店や集客を目的として出すものです。
波及人数に比例して広告費用は高くなりますが回収率はどの媒体でもほぼ同じです。
費用対効果を考えて目的や広告媒体、予算を決める事が肝心です。
特に割引や値引きを打ち出した場合には、予想した集客効果が得られずに広告費が赤字になる場合もありますので予算を掛けすぎないようにしたいですね。
広告費の費用対効果
費用対効果は主に、宣伝広告費と売上の関係を表す言葉です。
広告の効果が広告費に対して、プラスなのかマイナスなのかを知る事で、広告や宣伝、キャンペーンの成功、失敗を判断するものです。
成果がある場合には資金の許す範囲で、定期的に実行し、
成果が無かった場合には、内容や広告媒体などの見直しをします。
成功失敗の判断基準
あくまでも、平均売上からの増加分で判断します。
・販売促進広告の場合には、広告費用+αが目標金額になりますので原価率30%の店舗では広告費の2倍以上の売上増です。
具体的には平均日商10万円で原価率が30%の店舗で5万円の広告費を使った時には、広告効果の増加分10万円をプラスして日商20万円が目標金額になります。
実際は1日で広告の効果が無くなる事は、無いので一定期間で判断します。
判断期間
広告が配布された日を基準に、1ヶ月単位での比較が確実だと思います。
売上の見方の記事で説明したとおり平均売上と比較すると、経験上、配布当日に、明らかに売上が増え、約2週間で収束するパターンが多いです。
「広告を見たと」言えば○○サービスとか、広告に「切り取ってお持ち下さい」とサービスチケット代わりに使うのは、発行部数と回収率を比較分析する為です。
売上額と広告の回収率を併用すれば、より正確に広告効果を測定出来ます。
宣伝広告費は決して安い金額ではありません。自店の客層と来店動機を考えて広告を出すのは基本です。
費用対効果を考えずに、広告を乱発し、宣伝広告費が負債となり閉店したお店は、幾らでもあります。
広告は薬にも毒にもなります、中毒にならないように、くれぐれもご注意下さい。
6.通信費、備品購入費通信費は、電話料金、DM費用、切手代です。備品購入費は、調理器具、各種消耗品、什器です。
通信費は電話料金、切手、はがき費、インターネット費
備品はトイレットペーパー、割り箸、おしぼり等のお客様をおもてなしするための経費
これは、お客様一人当たりの費用を算出しておきます。客数増に比例して増えますが
売上も増えるので営業経費と認識しましょう。
事務用品など営業に関わる経費
従業員の意識で増減しますが、余程の事がない限りその変動は微々たるものです。
調理器具、お皿などの什器に関わる経費
お皿に関しては、1枚あたりの金額が安くないこともありますし
割れたり欠けたりするものなので、一定の割合で定期的な支出になるのは仕方のない事です。
金額を決めて経費として見ておくことが必要です。
経費を抑えるために欠けた食器を使用するのは考えものですしお皿を割ってしまった
スタッフに費用負担を迫るのもどうかと思います。のでやはり固定費と捉えるべきでしょう。
以上が支出の大雑把な説明ですが考え方としては、固定費と変動費に分けられます。
変動費は売上げと連動して増減する費用なので毎日の営業の中でコントロールします。
固定費(主に地代家賃)は営業日数、営業時間を増やす事により時間当たりの経費負担を少なくすることが出来ます。
いずれにしても、現場責任者の能力が問われると思います。